もなか

欧州ど田舎暮らしで母国語のアウトプットに飢えているのでネットの森に穴掘って王様の耳はロバの耳

まあそんなものだよね

mxoxnxixcxa2013-01-28

 先日ものすごうく久方ぶりに東京へ。兄弟の結婚式に出席してきた。
 私にとっては、匿名であっても書いて良いものか迷うことなのだけれど、まあいいか。
 彼の新妻は妹の友人だった子。初めて会った時というかそれだって妹の葬式とか遺品整理だとかその後の後処理だとかで初対面だったのだと思うのだけれど、新妻は最初から兄弟のことが好きだったらしかった。
 その後付き合いだして、私が上京した際なんかには3人で食事したりもしてきた。妹なんかいなかったことにして生きていきたい私にとって、兄弟の選択はなんというかもう、人ってそれぞれなんだなと思うばかりだ。とはいえ、これも一つの出会いのきっかけなのだとは理解しているつもり。
 彼にとって妹はきっとずっと、とても愛しいものなんだろう。あの後、彼は自分の家具を捨てて妹の家具を引き取って暮らしてきた。本当のところなんて知る由もないけれど、でもきっとたぶん、忘れたくない大事なものなんだろう。
 そのうえでやっぱり疑問なの。一体どういう気分で、自分勝手に死んだ身内の友人と家庭を築いていこうと思ったのだろう。それがよく分からないけれど、質問するべき事柄でないことくらい分かってる。私は家族なんてこれ以上増やす気にならないし、家庭を作る気にはなれない。身内に愛着はあるけれど、彼らが他界したらきっとほんの少しはほっとするだろう。失う不安が消えるんだから。
 妹なんていなかった。そう思わなければやっていけない。私が見てきたものは何だったのだ。一緒に過ごした時間は?あれやこれやの約束は?過ごした時間も、積んできたはずの何もかもをすべて否定された気分だ。これは2年半以上経った今も変わらない。それだけじゃない。堪えがたいのは、私という存在が妹にとって意味のないものだったと突きつけられたことだ。私は一体なんだったのだ。私はどうして身近な人間にとってさえ価値のある存在になりえないのだろう。
 わかってる私はいつも自分のことしか考えてない。
 否定されたんじゃない、そんなもの、そもそも意味のないものなのだと思う。思えばいい。家族や記憶なんて、大きな意味はない。ただそこにあるだけだ。そんな思いがずうっと空っぽな中をぐるぐるしている。儚くて虚しいものなんじゃない、そもそも大した意味を持たないものなの。意味があって欲しいと思う人にとってだけ意味があればいい。
 なんだか色んな事が麻痺してしまった。馬鹿みたいだ。あと数カ月で3年になるのにいつまで私はぐるぐるしているんだろう。
 それで、幸せいっぱいの新郎新婦を祝福して、久し振りの2丁目で飲んで帰ってきた。私はまだこういった場で多少の注目を浴びることができる。だからってそれが一体何なのだろう。私の容姿は確実に劣化して行くし、これから先も独りで過ごしていくんだろう。
 幸せそうな新郎新婦。大勢の友人からの祝福。この日のために選んだお気に入りのドレスとタキシード。目の前にあるものがこの先もずっと、どうか幸せなものであって欲しいと心底思った。それで思ったの。私はどうしてこんなに孤独なんだろう。スケジュールにあれこれ予定を盛り込んで、友人たちと飲んで騒いであほみたいに過ごしていても、ものすごく孤独だ。寂しいとか、そういうんじゃない。孤独でたまらない。
 私には妹が昔いたはず。でももう、それも単なる思い込みだっていう風に、思い込むの。私は孤独なんじゃない。自由なの。