もなか

欧州ど田舎暮らしで母国語のアウトプットに飢えているのでネットの森に穴掘って王様の耳はロバの耳

ナイジェル・ケネディ

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」(CCCD) やかましい音楽はクソ。子供に害をもたらすテレビ・漫画の類は一切ダメ。親の趣味でこの憎い弦楽器を習わされていて、むしろ私が生まれたときに母は私のテーマ曲をなんでかヴィヴァルディの四季に設定して、来る日も来る日もヴィヴァルディ三昧。しかしその選曲がいかにも日本人て感じがして可愛い気もしなくもないんだけども、「四季」は好んで聴くような曲にはなりえず、むしろ聴き飽きて耳にタコ。
 窮屈な環境にいたため、10代になる頃には立派なクラシック憎悪者と成り果てていたので、クラシックを耳にすると無償にイラつき、ことにヴィヴァルディなんてうんざり。クラシックはイヤだ窮屈だ退屈だ。とかなんとか思っていた私の頭を鈍器で殴ったのがケネディで、こんなに破壊力満点な「四季」があるなんて!とぶるぶる震えたのだった。
 モヒカンにだるいファッションと、ブーツの足を地団太踏んで演奏するその様に惹かれ、凄まじく攻撃的なツィゴイネルワイゼンにシビレた。しかもケネディのクソかっこいいところは、葉加瀬太郎とかがやっていたみたいに、クラシックのポップス化なんていうトリックではなく、クラシックの枠でまったく新しいヴィヴァルディを作り上げているところだった。クラシックってこんなにかっこいいのか!青かった私をやっと認める気にさせてくれたのだった。楽しめるものが増えるって素敵。