もなか

欧州ど田舎暮らしで母国語のアウトプットに飢えているのでネットの森に穴掘って王様の耳はロバの耳

アイテム減算生物なんて嘘。ていうのも嘘。なんてうそ

mxoxnxixcxa2009-11-14

 自分にはぜんぜんぜん来るはずないと思っていた大人年齢が何だか徐々に生々しく感ぜられ、なんていうかそういった類の実感をアルコホオルの分解能力の緩やかな低下などで、染み入るように教え込まれる。摂取量によっては翌朝に残るんである。己の飽和点の見積もりを大きく下回っているはずなのに。
 自分には経年劣化なんて関係ないと思っていたのに、どうもそうじゃないらしいと薄々分かってきた。そういった類の実感は、鏡に映る顔面を眺めたときに襲い掛かってくる。
 数年前までは、アップで眺めた肌理の低下で感じる程度だったんだけれども、最近は離れた距離でふと己の顔面を見る機会があったときなどに、昔はなかった影がつまりは鼻から口元にかけての両サイドに薄っすらと誕生し始めたゆくゆくはホウレイセンという恐ろしいものへと発展してゆくのであろう影を確認したときに、どうしようもない恐怖を覚える。いやだこわい女だもの。女って美しくあるべき。そうであって欲しいの。
 例えば男性の場合、美しい期間=少年期っていうのが、少女に比べてもっとずっ儚く短いだけに、あとは美しさ以外の部分を年齢とともに得ていくことで、価値をあげていくことが出来る。渋さとか貫禄だとか、いわゆる経験からくる余裕なんかは男性においては直接色気や魅力になっていく。たぶん男性という生態は、アイテム加算制度。
 一方女はアイテム減算制度。女子にとって若さって特別すぎる。いくら賢さや強さが女を上げるとはいえ、また年齢とともに変容していく年相応の美しさとがあるとはいえ、正直言って女の容姿は若いときが美しい。若さが美しすぎる。フェミニストがどう吠えても、若い女は美しいし、その美しさには価値がある。少なくとも、乙女人生を思い切り楽しみたい私は、今のところそんな風に思ってしまう。
 で、そんな風に思っているから、若さの代わりに他のものを得ていけばいいのだと分かっていても、老化を食い止めたいと虚しく考えてみたりする。もしくはできるだけ緩やかな速度で、いやいや私だけは経年という呪縛から自由になれるのじゃないかしらなんて、見果てぬ夢を描きがちな節がある。若さにしがみ付いてフェイスリフトで無残な顔になっている中年女性を軽蔑しつつも、どこか理解できる気もして尚のこと嫌になる。
 だからさっさと年を取りたい。バロメーターを振り切ってしまいたい。早く年取って少女になりたい。飛び切りキュートな老女に。だいたい容姿だの若さだのって、トータルで行けば大した要素でもないんだろうから、クールな姉さんになりたいの。なんだ、若いだけじゃないの、って余裕かまして笑い飛ばせるだけの自信を持てるような女を目指したいって思いながら、今日も今日とて美容に気遣うでもなくお酒を飲んだんだけれども。