もなか

欧州ど田舎暮らしで母国語のアウトプットに飢えているのでネットの森に穴掘って王様の耳はロバの耳

『インファナル・アフェア』

インファナル・アフェア [DVD] 帰宅してテレビをつけるとトニー・レオン。『インファナル・アフェア』がやっている。そうかⅢが公開かと見入る。
 スター/アンディ・ラウと、演技派/トニー・レオン。両者とも好きだけれど、トニー・レオンはアジアの至宝だと思っている。『ブエノスアイレス』の坊主頭のたたずまいが、三島由紀夫に見えたのも懐かしい。『非情城市』『シクロ』で完全にはまってしまった。
 どこか石坂浩二に似ていなくもないのに、どうしてこの人の目はこんなにも哀愁を帯びているのだろうと引き込まれてしまう。黙って目で語れ。こういうタイプは日本の俳優にはいないと思う。作品名は忘れたが、レスリー・チャンマギー・チャンなど豪華キャストによるしょうもないハジケタ香港コメディーで、この人がどうしてここまで?というようなこともする。レスリー・チャンが流し目拳法とかをやっている映画だったけど、名前が思い出せない。
 巧みな構成と周到な台詞と緻密な演技。香港映画にありがちなやりすぎ感は全くなし。短いカット割はスタイリッシュで印象的だし、伏線の張り方もうまいよ最高。返還後、株価の下落に見舞われて、上海の影で経済的にも沈んでいく香港。なんだかとても哀しい気持ちで眺めていた。言論統制やら資金難やら何やらで作りたい映画も侭ならないらしいし、衰退する一方だった香港ムービーから、こんなに新しくて面白い映画が。この映画の話を知った時はとてもうきうきした。
 マーティン・スコセッシのリメイクは全然期待しない。近年スコセッシは何がしたいんだろう。トニー・レオンレオナルド・ディカプリオで、アンディ・ラウマット・デイモン?しかしアンディ・ラウの40を越えてのあのスタイルのよさには目を見張るものがあるよ凄い。