もなか

欧州ど田舎暮らしで母国語のアウトプットに飢えているのでネットの森に穴掘って王様の耳はロバの耳

強烈でいて儚いものスーパースター

 大体にして、失われたものというのにとても心惹かれるんである。時代に選ばれ時代に愛され、彼ら自身がまた時代を形成し、時代の顔となり象徴となり寵児となって、燦然とまばゆい輝きを放ったアイコンたちの抱えるストーリーが丸ごと好きなの。
 マリリン・モンローグレタ・ガルボマレーネ・ディートリヒエリザベス・テーラーとかとか大好きだ。プレスリーとか、アラン・ドロンだってそうなんだろう。神様に選ばれた時代のアイコンはどうしようもいない輝きを放ちながら、やがてまたその時代よって裏切られ、おいていかれる存在になってゆく。輝きの頂点で死んでしまえば永遠でいられるけれど、誰しもが栄華のマックスで自身に幕を下ろせるわけでもない。ヘップバーンやボウイのように、うまいことシフトチェンジしてしまえるわけでもなく、ジェイムス・ディーンやカートみたいな、完璧なピリオドが打たれることもそうはない。
 現代はハリウッドでさえスターを生めない時代なのだそうだ。一億総自己愛のこの時代と言われるけれど、きっと世界規模でそうなのかもしれなくて、何か大きな超越した存在に夢や陶酔を託すよりも、マスの個々人が各々の小さな物語に埋没しているそんな感じ。島国で芸能界が必死でキ○タクを捏造しても、彼に対する熱狂を生み出すことは出来ない。
 刹那的に強烈な光を発した時代のアイコンたちは、やっぱりその時代の生んだ奇形児として、今見ても存分にカリスマ性を感じさせる。スターその存在その包括する物語性が好き。やがては時代に取り残され忘れ去られていく運命の残酷さが、いっそう彼らを輝かしく見せてくれる。一瞬のものだって分かっているから、どうしようもなく惹かれるんである。

デブラ・ウィンガーを探して [DVD]

デブラ・ウィンガーを探して [DVD]

ベルベット・ゴールドマイン [DVD]

ベルベット・ゴールドマイン [DVD]